宝石に付く、鑑定書、鑑別書について解説する前に、それを発行している会社について簡単に説明いたします。
宝石の鑑定書や鑑別書を発行している会社は、公共機関や国家資格ではなく、あくまでも民間団体であり、民間資格を有している方が検査機器、顕微鏡、肉眼で鑑定・鑑別します。そのため、会社によっては、価格の安いところ高いところ、信用の出来るところ出来ないところ、商売上手なところ、そうでないところなどさまざまです。そのため、日本国内では、ある程度の指標を設けた宝石の鑑別団体(宝石鑑別団体協議会(AGL))があり、そこに所属しているところが一番信用できると一般的には言われ、通称「A鑑」と呼ばれています。ちなみに「B鑑」は、AGLには入っていないが、まあまあ信用できる鑑定鑑別機関、「C鑑」は融通の利く鑑定鑑別機関といったところでしょうか。
これは、一般的な宝石業界の見解ですが、有名どころの鑑定鑑別機関では、
中央宝石研究所 | 業界国内最大手の鑑定鑑別機関。とりあえずここの鑑定書・鑑別書があれば信用できます。一般的には無色のダイヤモンド鑑定などによく利用されます。 |
全国宝石学協会 | 色石の鑑別に関しては、日本でも最も信用できる鑑定鑑別機関ではないでしょうか。特に、パパラチアサファイアなどは、ここの鑑別書があるかないかによって価格がかなり変わってきます。 |
AGT(GIA JAPAN) | ジェモロジー(宝石学)の世界的教育機関の日本代行機関がGIA JAPANで、GIA JAPANのラボラトリー部門(鑑別部門)がAGTジェムラボラトリーです。ダイヤモンドの4CはGIAが考案しました。特にカラーダイヤモンドの鑑定などは、ここの鑑定書は必須です。 |
真珠科学研究所 | 日本国内において、最も信用できる真珠専門の鑑別機関といわれています。 |
真珠総合研究所 |
鑑定書とは?
よく勘違いされる方が多いのですが、通常宝石の業界で鑑定書というのはあくまでも、ダイヤモンドのグレーディングレポートのことで、価格を鑑定したものではありません。要するに、いわゆるダイヤモンドの良し悪しを判断する指標にされている4Cを明確化したものということです。そのため、いくら鑑定書があるからといっても高いものであるというイコールではありません。
当然、宝石鑑定士だからといって値踏みができるわけでもなく、信用できる鑑定鑑別機関(鑑定書や鑑別書を発行している会社)は、「価格は、いくら位です。」などと教えてもくれませんし、価格の値踏みを経験しているわけでもありません。むしろ価格の値踏みは、宝石の販売会社の人のほうがわかるかもしれません。なんといっても、実際に仕事で仕入れをし、価格をつけているのですから・・・。
鑑別書とは?
鑑別書についても結構勘違いされている方が多いのですが、宝石を買って鑑別書がついているから良い物だということではなく、鑑別書とは、わかりやすく言うとそれが何という鉱物(宝石)かを鑑別してくれている証書なのです。一般には、本物か偽者かを審議するために存在します。中には、本物の石だけれども、石に処理が施されているものもあり、それについても記載されます。