トパーズは、シトリンと混同される事が多いですが、別の宝石です。10月の誕生石です。

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トパーズ

トパーズ
(TOPAZ)

トパーズは、シトリンと混同される事が多いですが、別の宝石です。10月の誕生石です。

トパーズ
写真はインペリアルトパーズ
鉱物名 トパーズ 和名 黄玉(イエロートパーズ)
化学組成 Al2Si04(F,OH)2 誕生石 11月
結晶系 斜方晶系 硬度 8
比重 3.53 宝石言葉 希望、友情、潔白
屈折率 1.61-1.64(色による) 語源 ギリシャ語の「捜す」の意topazosから
一般処理 石により異なる 多彩

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トパーズとは?

トパーズの日本名は黄玉というように、黄色の宝石を代表している有名な宝石です。あまり宝石の事を知らない人でもトパーズという名前はご存知だと思います。しかしながら、トパーズは決して黄色の石だけではなくブルートパーズ、グリーントパーズ、カラーレストパーズ(無色トパーズ)、イエロートパーズ、インペリアルトパーズ(黄金色)、ピンクトパーズ、オレンジトパーズ、ブラウントパーズと、まだ他にもありますがかなり多彩な宝石です。

トパーズを語る時に外せない話として、紅海のトパズィオス島(現在はザバルガット/英名セントジョーンズ島)の話があります。ここでは、紀元前から採掘がされており、大昔、アラビアの海賊たちがこの島に難破し、たまたま見つけたのが始まりとされており、その後中世の十字軍によって欧州にもたらされ、キリスト教の儀式に多く使われました。紅海技術が発達してなかった時代には、常に霧に包まれたこの島にはたどり着く事が困難であったため、ギリシャ語の「捜し求める」という意味の「トパズィオス」Topazosに由来して島の名前がつき、その島の名前からトパーズと呼ばれて今に至ります。ペリドットも同じ様に、この島で採れ、トパーズと呼ばれていました。この話自体が歴史の中で、混同されているのかもしれません。

トパーズはフッ素を含むアルミニウム珪酸塩で、斜方晶系の結晶であるが、産地ごとに多少異なった性質を持っています。硬度は8と比較的硬い鉱物ですが、結晶の上下軸に直角の方向に割れやすい性質(劈開性)を持っているため、弱い方向に軽く打っただけでもひびや内部亀裂を起こすことがあり、場合によってはスパっと割れてしまうことさえあります。結晶の形からオーバル(長楕円形)やペアシェープ(洋ナシ型)の形にカットされることが多いのですが、その場合、横向きにヒビが入りやすいので、取り扱いには注意が必要です。

一般的に黄色い石というとトパーズが連想されるのですが、その理由はシトリン(黄水晶)がトパーズと勘違いされて日本市場で広まった時期があり、これは日本だけでなく世界的に誤解を与えました。黄水晶はシトリン・トパーズともいわれており、硬度7、屈折率1.5。宝石の価値はインぺリアル・トパーズよりかなり劣ります。現在でも誤解は払拭されていないのが実情です。しかし、その誤解は古来からたびたび起こっているので本物のトパーズはプレシャストパーズやインペリアルトパーズと呼んで区別されていることも多いです。

東洋では健康の石といわれ、胃や陽を丈夫にし、食欲を増進させるのに効果があるとされていました。近代ではビクトリア女王が、ルビー、サファイア、オパールなどとともにトパーズを愛用したことが知られています。また、ヨーロッパには「イギリス人は海水色のアクアマリンを好み、スぺイン人は黄色のトパーズを愛する」という格言があります。


トパーズの特徴

トパーズの変わった特徴として、タイプが2種類あり、OHタイプ(天然インペリアルトパーズ)とFタイプ(天然トパーズ)に分類されています。

OHタイプ(天然インペリアルトパーズ)
シェリーカラー(シェリー酒色)と呼ばれて高い価値を認められる宝石はインペリアルトパーズで、ブラジルを産地としていますが、天然ピンクインペリアルのみアフガニスタンで産出します。ただし、アフガニスタン産は退色が危惧されることと、極めて産出量が少ない為に市場で見ることは滅多にありません。

Fタイプ(天然トパーズ)
Fタイプのトパーズは放射線処理によって様々な彩りを与えられるのが特徴で、一般的に無色トパーズに青色の段階的な濃度の変化を与えた宝石が有名です。これは人工的なトリートメント処理によって緑色、油色などバリエーションが揃います。無処理状態では、薄茶色、淡水色、無色となり、内包物の混入が少なく、透明感の高い巨大な結晶が得られます。

OHタイプトパーズ、Fタイプトパーズといった分類を問わずトパーズの産出地としてまずブラジルがあげられます。シェリーカラー(シェリー酒色)の上質のトパーズのほか、ピンク、ブルーに熱処理される黄色のトパーズなども産出します。ビルマのモゴック近辺では美しい黄、青、無色の大粒トパーズが多量に産出しており、他にスリランカ、ソ連、アフリカ大陸、アメリカにも産出地があります。日本では岐阜県苗木、山梨県金峰山などで産出し、とくに苗木ではかつて大きな結晶が産出しており、現在ニューヨークのアメリカ自然史博物館にある1463カラットの卵形にカットされたトパーズは、苗木産といわれています。


トパーズのカラーバリエーション

インペリアルトパーズ IMPERIAL TOPAZ インペリアルトパーズ 赤褐色
ピンクトパーズ PINK TOPAZ ピンクトパーズ ピンク色
ブルートパーズ BLUE TOPAZ ブルートパーズ 青色
ホワイトトパーズ WHITE TOPAZ 無色
イエロートパーズ YELLOW TOPAZ 黄色
グリーントパーズ GREEN TOPAZ グリーントパーズ 緑色
シャンパントパーズ CHAMPAGNE TOPAZ シャンパントパーズ シャンパン色
ブラウントパーズ BROWN TOPAZ 茶色
ミスティックトパーズ MYSTIC TOPAZ 緑・赤紫色

インペリアルトパーズ IMPERIAL TOPAZ

インペリアルトパーズ

インペリアルトパーズは『OHタイプ』に属してます。

シェリーカラーと呼ばれるトパーズはインペリアルトパーズに含まれる、黄褐色から橙褐色の彩りを指しています。シェリーカラーはスペイン南部に伝わる美しい黄褐色の山葡萄酒に喩えられたものですが、『インペリアル(皇帝)』という高貴な名称は、赤褐色トパーズ(RaddishBrownTopaz)が起源となります。

上品なシャンパンカラー、高貴なマリーゴールド、可愛いピンキッシュブラウンといった彩りが広がるインペリアルトパーズは、どれも自然が創り出しているナチュラルカラーです。大地の恩恵となる神秘的な橙〜黄〜褐の微妙な光彩をじっくりと楽しみたい宝石です。

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ピンクトパーズ PINK TOPAZ

ピンクトパーズ

インペリアルトパーズは『OHタイプ』に属してます。

『ピンクトパーズ』はブラジル産の『インペリアルトパーズ』を加熱処理することで得られる宝石で、『ピンクダイヤモンド』を連想させる程のシャープな輝きが強く顕れる宝石となります。一時期、パキスタンで産出した天然ピンクトパーズが市場に出現したことはありますが、これは退色が懸念される宝石だった為に市場から消えてしまい、現在は商業的な採掘は行われていないようです。

『ピンクトパーズ』の結晶はインペリアルトパーズと同じという性質から、棒状の結晶から得られるロングタイプで厚みの大きいファセット石が多く、その為に美しいオーバルカットは少なく、ラウンドカットを見つけることが至難となる宝石です。また、インペリアルトパーズと比べると良質石の流通が少なく、美しい宝石を入手することが難しい宝石です。

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ブルートパーズ BLUE TOPAZ

ブルートパーズ

『ブルートパーズ』の天然色しか存在しなかった頃は彩りが淡いものしかなく、アクアマリンの代用品といった程度にしか考えられなかった宝石ですが、放射線照射によって濃い青色に色調が整えられた『トリートメントブルートパーズ』が登場し、『トパーズ』という宝石の知名度は世界的に広まり、今でも市場で人気の高い宝石に選ばれています。

ブルートパーズは大きく分けると5種類が存在し、放射線処理によるトリートメントが行われている『スカイブルートパーズ』『スイスブルートパーズ』『ロンドンブルートパーズ』の他、これらのトリートメント石の原型となり、アクアマリンの代用品とされた色調である『天然トパーズ(淡い水色)』と、トパーズの中でも天然色で濃い青色を彩る稀少性の高い『ロシアンブルートパーズ(ロシア産)』があります。

また、世界最大で20000CTを超える巨大原石が得られる『巨大宝石』で、市場で見られるサイズも様々ですが、ジュエリーフェアーなどの展示会でも巨大すぎる宝石はスペース的な問題があって展示できず、クォーツ類と同じく、さほど巨大なカットストーンを手に入れる機会が少ない宝石です。

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グリーントパーズ GREEN TOPAZ

グリーントパーズ

『ブルートパーズ』の天然色しか存在しなかった頃は彩りが淡いものしかありませんでしたが、放射線照射によって濃い青色に色調が整えられた『トリートメントブルートパーズ』が登場し、『トパーズ』という宝石の知名度は世界的に広まり、今でも市場で人気の高い宝石に選ばれています。

トリートメントタイプの宝石ですが、安価で彩りと輝きの良い大きな宝石が手に入ることから人気が高く、天然トパーズの色相をトリートメント処理で人工的に改変し、マルチカラーのトパーズを創り出そうという動きが一時的に見られました。ほとんどは技術面やコスト面で失敗し、現在も続けられているトリートメント・トパーズは、青色、緑色、油色のみです。
『グリーントパーズ』はブルートパーズと同じ放射線処理で色相を変化させている宝石で、純粋な緑色ではなく、微かに青の彩りが入っていることに気がつける宝石も見つかります。トリートメントタイプは全て『Fタイプ』と呼ばれるトパーズですが、極めて稀産の宝石として、インペリアルトパーズと同種である『OHタイプ』の天然グリーントパーズがブラジルで得られます。

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シャンパントパーズ CHAMPAGNE TOPAZ

シャンパントパーズ

ブルートパーズやカラーレストパーズと色違いの宝石で、トパーズ(F)タイプに属している薄茶色のタイプが『シャンパントパーズ』と呼ばれています。ブルートパーズがトリートメント宝石として知られるのですが、シャンパントパーズの彩りは天然ブラウンカラーとなります。

主産地はブラジル・ロシア・タイ・カンボジア・ベトナム・アフリカで、トリートメント処理が行われて彩りを改変される場合もありますが、ベースカラーが天然ブラウンを彩る美しいものはシャンパントパーズとなります。

シャンパントパーズは、カラーレスに近い彩りから、ライトブラウンの彩りを持っています。同じブラウンカラーでFタイプのトパーズにメキシコ産の『ゲレロトパーズ』があり、オレンジ色が入るコニャックブラウンの彩りとなりますが、これは宝石ショーでも見つけられない程、流通が少ない稀少トパーズです。

最もベーシックなトパーズ宝石ですが、トリートメント石が市場を席巻している為、シャンパンカラーは多く見られない宝石です。100CTを超える大粒石も得られるので、大粒石コレクションにも注目される宝石のひとつです。

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ミスティック トパーズ MYSTIC TOPAZ

ミスティックトパーズ

『トパーズ』を人工的に色調を改変して誕生する『ブルートパーズ』は有名ですが、この『トリートメントタイプ』のトパーズは幾つかの彩りがあり、他に『緑色』と『赤紫色』を見つけることができます。その中でも特に異彩な姿を見せつける宝石が『ミステリックトパーズ』で、トリートメント技術の粋を結集し、放射線処理でなく、チタニウム照射技術により『天然トパーズ』の色調を改変しているものです。

このミステリックトパーズはアメリカの学術研究機関で開発された新しいトリートメント技術によるもので、本来の姿は『ブルートパーズ』と同じですので、この宝石を鑑別機関に提出した場合は『天然トパーズ』となります。

ステンドグラスを連想する神秘的な虹色の煌きを発する宝石で、その輝きの異彩さは天然色の宝石とは明らかに異なっています。トパーズ宝石は天然石なのですが、独特の極彩色の発色から、一種の『カラーアート/芸術的色彩』が追求されるトリートメント・トパーズです

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