ルビーは、実はサファイアと同じ鉱物でコランダムという鉱物に属します。

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ルビー

ルビー
(RUBY)

ルビーは、実はサファイアと同じ鉱物でコランダムという鉱物に属します。

ルビー
鉱物名 コランダム 和名 紅玉
化学組成 Al2O3 誕生石 7月
結晶系 六方晶系 硬度 9
比重 4.00 宝石言葉 情熱、勇気、仁愛、威厳
屈折率 1.762-1.770 語源 ラテン語で赤を意味するルベウスより
一般処理 加熱

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ルビーという特別な存在

ルビーとサファイアは鉱物名としてはコランダムという鉱物に属します。ルビーとサファイアは、 鉱物学的にいうと兄弟であるといえます。その化学組成は, Al2O3、 酸化アルミニウム、いわゆる陽極酸化被膜(アルマイト)です。聞きなれない言葉ですが、身の回りのいたるところに存在します。 ようするに、アルミです。そして、アルマイトを溶かして冷やすだけでコランダムの結晶となります。
 不純物が非常に少ない純粋なコランダムは無色透明で、しかも高い屈折率により強い輝きを示しますが(無色サファイア)、 宝石用途として用いられることは殆どありません。
 しかし、わずか1%程度の微量のクロムを不純物として合むことにより、ルビーになるのです。この微量な不純物の量が微妙で、 これが0.1%となるとピンクになり、ルピーには届かずピンクサファイアと鑑別されます。 それが多過ぎて5%以上になると灰色のエメリーと呼ばれる灰色の工業用の研磨用途の鉱物になり、価値はなきに等しくなります。
 しかし、ルビーが希少な宝石なのはそれだけではなく、不純物として含まれるクロムの存在が大きな理由です。 コランダムに適度なクロムが含まれるという事自体が稀にしか起きないのです。 何故なら、クロムは珪酸分の少ない塩基性または超塩基性と呼ばれる火成岩に含まれますが、 コランダムは一般には珪酸分の多い酸性岩質の、しかも珪酸分が多過ぎては他の鉱物になってしまうという微妙な条件の下で生成します。 即ち通常ならコランダムにクロムが含まれることはあり得ないのです。しかし、実際にはルビーは存在するのですから、 あり得ない何か特別なことが起こったことになります。まさに、ルビーはルビーであるだけで特別な存在なのです。

ルビーの希少性

ミャンマーのルビーの年間産出量は、約4万カラットと極めて少なく、タイ・カンボジア国境がその10倍程度、 アフリカで約2万カラットと、世界中合わせても50万カラット程しかありません。年間産出量としては、 ダイヤモンドの1500万カラット、サファイアの2000万カラット、エメラルドの300万カラットと比べると、 これだけ有名で人気のある宝石としては桁違いの少なさです。
しかも、最高級産地のミャンマーは常に紛争の危機にさらされ供給が不安定なため、最高級のルビーはどんどん値上がってしまい、 今日の破格につながっています。
しかしながら、マダガスカルでの新たな産出により今後の動向が気になるところです。

ルビーの色々な赤

ピジョン・ブラッド
(鳩の血の色)

やや濃色の赤で内側からの妖輝な光(いわゆるテリ)がある色合いをピジョン・ブラッドといい、最高級のルビーの色。 この色のほとんどがビルマで産出され、紫外線に対して発光する性質が強く、黒みの原因になる鉄の不純物が少ないのが特長。

ビーフ・ブラッド
(牛の血の色)

主にタイ産の、透明度は落ちやや黒みを帯びた赤色のルビーの色合いを指して言う。紫外線に対して発光する性質は弱い。

チェリー・ピンク

スリランカ産の明るい色調で透明度が高い色合いのものを指して言います。

産地別解説


ミャンマー産

ピジョンブラッド”鳩の血の色”と称される深紅の色合いは色の起因であるクロムの含有量が1%と高く、 暗い翳りの原因となる不純物である鉄分の含有率が低いためです。 また、比較的に柔らかな大理石の空隙の中で結晶が大きく成長出来たことも、 他産地とは異なる純粋で大きな結晶が採れる理由です。まさに、品質、希少性、価値など全てにおいて最高級品といえます。 しかし、ミャンマー政府が鉱山を国営化したため、産出が激減しており、加えて政局が不安定なため非常に入手しにくいのが現状で、 かなり高価なものになっています。

ミャンマー産の中でも最も評価が高いのはモゴック鉱山から産出されるモゴック産ですが、 非常に高く、その中でも加熱処理をしていないものは、驚くほどの高値で取引されています。しかし、1990年代に、 そこから東南に比較的新しいにマンシューという鉱山が発見され、モゴック産に引けをとらない良い品質のものも 産出されています。さらに極最近、中国よりに新しい鉱山も発見され、色味は若干オレンジ味の石が多いですが、 非常にクラリティの高い石が産出されており今後の進展が期待されます。


タイ産

稀少なルビーの産地として,タイは生産量では世界の大半を占めています。

タイ産ルビーはミャンマー産と比べると多少紫がかかって見えます。これは鉄分が多いため、 いわばサファイアの青の発色が混じって紫になるためです。
あと、大半は色味が濃すぎて透明度の低い濁ったいわゆる黒味がかったルビーが多く産出されます。 それなり美しいのですがその黒みがかった血の色は、ビーフブラッドと呼ばれています。

市場ではミャンマーのピジョンブラッドが高く評価され、カラット当たりの単価はミャンマー産の半分にしかなりません。
タイ産ルビーは1850年の鉱床発見以来、19世紀後半から世界の重要な供給地で、品質ではミャンマーに劣りますが、 1963年にミャンマーが社会主義化され国営化された鉱山からの産出が激減したため、 タイが最も重要なルビーの産地の1つとなっています。


スリランカ産
(セイロン)

チェリーピンクと形容されるくらい、ピンクがかった淡い赤色をしており、ルビーとしての評価は低い。中には、紫がかったものもあり、鑑別で、ピンクサファイアやバイオレットサファイアになることもしばしば見られる。


ベトナム産

1983年はじめてルビー発見の報告があり、1987年その28km西で豊穣なルビー鉱床が発見されました。 その後ヴェトナム全土での調査が行われ、ほぼ全土に広大なルビーやサファイアの鉱床が発見されました。 北部のルビー鉱床はいずれもビルマやパキスタンと同じ,結晶大理石の層を花崗岩ペグマタイトが貫いた地層で、 ルビーやサファイアの他にも多様な宝石が発見されています。採取されたルビーの原石のほとんどは置物彫刻用で、 2・3割がカボションカットにする低級クラスで、カット宝石として利用できるのは1割にも満たないとのことです。 カットされる石の大半は1ct前後です。
しかし大半の石はクロムの含有率が低く、ルビーというより,ピンクサファイアに分類されます。

マダガスカル産

2000年末のマダガスカル宝石ラッシュで初めてルビーの採掘がはじまり、今のところ、 タイ産のような黒味のある石も出ていますが、透明度の高いテリのある最高級品の色合いの産出もあり、 今後最も期待できる石の1つだと言われていましたが、2002年のパパラチャサファイアの加熱処理問題 (パパラチャサファイアの説明に明記)が発生してからは、マダガスカルで採掘されたコランダム自体の信用が低下し、 品質のわりに需要は低下している。



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